どのように治療するの？
監修
北里大学北里研究所病院
炎症性腸疾患先進治療センター センター長
小林 拓 先生
クローン病治療の目的は腸管の炎症を抑えて寛解状態を継続させることです。このためには栄養療法と薬物療法が中心となる治療法で、血球成分吸着除去療法が行われることもあります。合併症に対しては外科治療が行われる場合もあります。
栄養療法
食事制限を行い、脂肪を制限した栄養剤を服用することで腸管への負担や刺激を軽減します。
薬物療法
- 5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤腸管の炎症を抑える薬で、活動期の症状改善と寛解維持のために服用します。
- ステロイド活動期の炎症を抑えるために用いますが、効果が得られたら徐々に減量して中止します。
- 抗菌剤5-ASA製剤やステロイドで効果が得られない場合や、肛門病変がある場合に用いられることがあります。
- 免疫調節剤ステロイドの減量・中止により再燃した場合に用います。
- 生物学的製剤抗TNF-α拮抗薬、抗インターロイキン-12/23拮抗薬、抗接着分子抗体(抗α4β7インテグリン抗体製剤)などがあります。炎症が強く、これまでの薬で効果が得られない場合に用います。
血球成分除去療法
血液を取り出し、炎症を引き起こしている血液成分(主に白血球)を取り除いてから、体内へ戻すことで炎症を抑える治療法です。栄養療法や薬物療法が効かなかった場合や、これらの治療が行えない場合に用いられます。
外科治療
栄養療法と薬物療法で症状が改善しない場合、腸管からの出血がコントロールできない場合、腸閉塞、高度の狭窄、穿孔、瘻孔、膿瘍などの合併症に対しては外科的手術を行います。
狭窄に対しては、内視鏡で狭窄部を拡張する方法も用いられます。
〈参考文献〉
・難病情報センター Webサイト「クローン病(指定難病96)」引用、一部改変(2023年6月現在)
・難治性炎症性腸管障害に関する調査研究(鈴木班)「クローン病の皆さんへ―知っておきたい
治療に必要な基礎知識 第4版」2020年